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レビュー(Amazon.co.jp)
2時間37分、ここまで濃密で重厚な映像体験をさせてくれる作品も珍しい。主演は、ともにオスカー俳優のデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ。監督は巨匠、リドリー・スコット。この完璧なトライアングルが作り出す男の美学に酔わされるのだ。1970年代初頭のNYで、一匹狼のギャング、フランクが東南アジアから安価な麻薬を密輸して富を築き上げる。一方、特別麻薬取締局に配属された刑事のリッチーは、精鋭チームを組んでフランクに迫っていく。主人公ふたりは、ともに実在の人物だ。
悪役ながら観る者の共感を誘ってしまうデンゼルの存在感と、いい意味での愚直さを前面に押し出したラッセルの受けの演技。その対照的な魅力は甲乙つけがたい。ふたりそれぞれの「光と陰」を交錯させたドラマ運びが絶妙で、人間の二面性がキャラクターを通して浮き彫りにされるのだ。フランクの家族や汚職警官の存在によって、人間への視点はさらに複雑さを帯びる。70年代のNYを再現した美術や、微妙な光を計算したリドリー・スコットの撮影術など、映画の見本とも言える上質なビジュアルに引き込まれ、善であれ、悪であれ、信念を貫いた男たちの運命に胸の奥底まで震えてしまう。(斉藤博昭)
2時間37分、ここまで濃密で重厚な映像体験をさせてくれる作品も珍しい。主演は、ともにオスカー俳優のデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ。監督は巨匠、リドリー・スコット。この完璧なトライアングルが作り出す男の美学に酔わされるのだ。1970年代初頭のNYで、一匹狼のギャング、フランクが東南アジアから安価な麻薬を密輸して富を築き上げる。一方、特別麻薬取締局に配属された刑事のリッチーは、精鋭チームを組んでフランクに迫っていく。主人公ふたりは、ともに実在の人物だ。
悪役ながら観る者の共感を誘ってしまうデンゼルの存在感と、いい意味での愚直さを前面に押し出したラッセルの受けの演技。その対照的な魅力は甲乙つけがたい。ふたりそれぞれの「光と陰」を交錯させたドラマ運びが絶妙で、人間の二面性がキャラクターを通して浮き彫りにされるのだ。フランクの家族や汚職警官の存在によって、人間への視点はさらに複雑さを帯びる。70年代のNYを再現した美術や、微妙な光を計算したリドリー・スコットの撮影術など、映画の見本とも言える上質なビジュアルに引き込まれ、善であれ、悪であれ、信念を貫いた男たちの運命に胸の奥底まで震えてしまう。(斉藤博昭)
カスタマーレビュー
おすすめ度:
対照的な二人の信念、そして人生
(2008-11-16)
158分と少し長い映画だけど最後まで目が離せない作品だ。東南アジアから麻薬を密輸し裏社会で一世を風靡するフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)。汚職にまみれた警察内部で一人正義を貫く男リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)が彼を追い詰める。
実話を基にした映画であり背景にはベトナム戦争がある。麻薬を密輸するのに使うのは軍の航空機。まずここでベトナム戦争を皮肉混じりに批判している。そして汚職の蔓延る警察内部。リッチーが不法な金を押収し署に届けたにも関わらず署の人間たちは彼を褒めるどころか賛同すらしない。いきなりこのシーンが映画開始早々出てきて少し理解するのが困難だったけど、映画の最後で理由が明かされ納得。
フランクは裏社会に君臨するが私生活では家族を愛し家族に富と幸福を与える。リッチーは正義を貫くが私生活では離婚調停中。そんな彼らの人間味溢れるシーンも織りなし、対照的な二人の人物に感情移入してしまう。単純な犯罪映画に終わっていないところが面白い。一見の価値ありの作品だと思います。
エンドクレジットの後に無くならない悪を描いた衝撃のワンシーンがあるので見るのをお忘れなく。
佳作で良かったのに贅沢しすぎ。
(2008-10-16)
「アメリカン・ギャングスター」とは邦題ではなくて原題なのだが、「アメリカの首領(ドン)」とは少々仰々しくはなかったか。ほかのレビューでも指摘があるように、対峙する2人は劇中さんざん「食うか食われるか」、信念を「貫くか、折れるか」と究極の選択をし続けたあと、最後になってなぜか意気投合し、2人をイジメてきた警官に仕返しして、仲良く溜飲を下げておしまいとはなぜだ?どちらかの役者が負け役で終わるのをゴネたわけでもあるまいし・・・。タイトルはもしかして「アメリカンハリウッドスター」を暗喩したのか?
「ゴッドファーザー」や「フレンチコネクション」と時代設定はダブるはずだが、封切が同じであれば勝負にならなかったのではないか。今の観客はさらに「トラフィック」も観てしまっている。新進気鋭の若手が有り金はたいて、無名俳優とオールロケーションだけで創り上げてくれたらもっと原作や脚本が活きたかもしれない。リドリースコットへの期待が高かっただけに辛口にもなろうというものだ。
対決の話なのか??
(2008-10-14)
作品のあらすじなどを読むと、のし上がるギャングとそれを追い詰める刑事の対決を中心にした物語であろうと思っていた。
が。70年代のアメリカを舞台に2人の男の生き方に重きを置いた描かれ方で、実際に2人が対決し、話が面白くなってくるかな?と思っていると、そこは意外とあっさりと終わる。
2時間半かけるのであれば、もう少し前半を削って、後半の対決を割いて欲しかったな、という感じ。重厚で面白い内容ではあったので、それが残念。
ギャングスターという響き。1970年代の片端が見えてきます。
(2008-10-14)
実話をベースにした一代記を描いた映画への取組みはなかなか難しいものがあるようです。
特にこのように1970年代と時代が近いものは顕著です。
あまりにも事実に即したシナリオに脚色を加え過ぎると大げさな感じになる反面、ダイナミックにすると映画のコンテンツが異なってしまうので、このさじ加減が難しいと思います。
この作品では、いつもとは異なるデンゼル・ワシントンが主役の悪党をよく分析して、細かく巧妙に演じているのがよく分かります。
オープニングのハーレムのギャングのボスが主人公であるフランク・ルーカスに話したキーワードに、そののち麻薬王として君臨することになるコツが隠されているという仕掛けがあります。
1970年代の裏社会を包み隠さず報じて、世間に明らかにした作品です。
2大スター競演の力作ではあるが、過去のギャング映画の寄せ集め的な感もする
(2008-10-04)
数々の映画史に残る名作を監督したリドリー・スコットの作品としては、やや物足りないが、最近のギャング映画としてはまあまあの出来。
ラッセル・クロウとデンゼル・ワシントンの競演が楽しみだったが、対面シーンはかなり後半にならないと出てこない。汚職刑事ではないが型破りの刑事というのはクロウにぴったりの役。一方のワシントンは近年はエリート黒人という配役パターンからなかなか抜け出せないジレンマに陥っているが、この作品では珍しくギャングのボス役を演じている。こちらも持ち前の演技力でそつなく演じているが、突然怒り出したりするところは「アンタッチャブル」や「グッドフェローズ」のロバート・デ・ニーロを連想してしまうし、そもそも映画全体が2大オスカー俳優対決を売りにしているため、やはりデ・ニーロが出演してアル・パチーノと競演した「ヒート」と比較してしまう。さらには家の外では非情な犯罪者が、家族想いであるという図式も「ゴッドファーザー」の二番煎じのような気がするし、平和な家族の描写に殺人、麻薬による悲劇の場面を挟み込むという演出も、やはり「ゴッドファーザー」で経験済みなため、映画全体が過去のギャング映画の寄せ集めのような気がしてオリジナリティや新鮮味に欠けるような気がしてしまう。
主役の2人以外の出演者では「ノーカントリー」でも熱演し、今後の注目株になるであろうジョッシュ・ブローニンがこの作品でも存在感のある汚職刑事を見事に演じている。
前半のバンコクや、麻薬製造のアジトの描写などはスコットらしさが見られる。中盤はクロウやワシントンの家族のエピソードが長くて蛇足の感が強く、クロウ以外の捜査チームのメンバーのキャラクターの描写が弱い。そして後半は急ぎ足になってしまっており演出よりも脚本が良くなかったのではないかと推察する。特に最後の汚職刑事告発の場面は前後のワシントンの心情も含めもっとじっくり描いて欲しかったと想う。力作ではあるが傑作にはいま一歩及ばなかった。
おすすめ度:
対照的な二人の信念、そして人生
158分と少し長い映画だけど最後まで目が離せない作品だ。東南アジアから麻薬を密輸し裏社会で一世を風靡するフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)。汚職にまみれた警察内部で一人正義を貫く男リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)が彼を追い詰める。
実話を基にした映画であり背景にはベトナム戦争がある。麻薬を密輸するのに使うのは軍の航空機。まずここでベトナム戦争を皮肉混じりに批判している。そして汚職の蔓延る警察内部。リッチーが不法な金を押収し署に届けたにも関わらず署の人間たちは彼を褒めるどころか賛同すらしない。いきなりこのシーンが映画開始早々出てきて少し理解するのが困難だったけど、映画の最後で理由が明かされ納得。
フランクは裏社会に君臨するが私生活では家族を愛し家族に富と幸福を与える。リッチーは正義を貫くが私生活では離婚調停中。そんな彼らの人間味溢れるシーンも織りなし、対照的な二人の人物に感情移入してしまう。単純な犯罪映画に終わっていないところが面白い。一見の価値ありの作品だと思います。
エンドクレジットの後に無くならない悪を描いた衝撃のワンシーンがあるので見るのをお忘れなく。
佳作で良かったのに贅沢しすぎ。
「アメリカン・ギャングスター」とは邦題ではなくて原題なのだが、「アメリカの首領(ドン)」とは少々仰々しくはなかったか。ほかのレビューでも指摘があるように、対峙する2人は劇中さんざん「食うか食われるか」、信念を「貫くか、折れるか」と究極の選択をし続けたあと、最後になってなぜか意気投合し、2人をイジメてきた警官に仕返しして、仲良く溜飲を下げておしまいとはなぜだ?どちらかの役者が負け役で終わるのをゴネたわけでもあるまいし・・・。タイトルはもしかして「アメリカンハリウッドスター」を暗喩したのか?
「ゴッドファーザー」や「フレンチコネクション」と時代設定はダブるはずだが、封切が同じであれば勝負にならなかったのではないか。今の観客はさらに「トラフィック」も観てしまっている。新進気鋭の若手が有り金はたいて、無名俳優とオールロケーションだけで創り上げてくれたらもっと原作や脚本が活きたかもしれない。リドリースコットへの期待が高かっただけに辛口にもなろうというものだ。
対決の話なのか??
作品のあらすじなどを読むと、のし上がるギャングとそれを追い詰める刑事の対決を中心にした物語であろうと思っていた。
が。70年代のアメリカを舞台に2人の男の生き方に重きを置いた描かれ方で、実際に2人が対決し、話が面白くなってくるかな?と思っていると、そこは意外とあっさりと終わる。
2時間半かけるのであれば、もう少し前半を削って、後半の対決を割いて欲しかったな、という感じ。重厚で面白い内容ではあったので、それが残念。
ギャングスターという響き。1970年代の片端が見えてきます。
実話をベースにした一代記を描いた映画への取組みはなかなか難しいものがあるようです。
特にこのように1970年代と時代が近いものは顕著です。
あまりにも事実に即したシナリオに脚色を加え過ぎると大げさな感じになる反面、ダイナミックにすると映画のコンテンツが異なってしまうので、このさじ加減が難しいと思います。
この作品では、いつもとは異なるデンゼル・ワシントンが主役の悪党をよく分析して、細かく巧妙に演じているのがよく分かります。
オープニングのハーレムのギャングのボスが主人公であるフランク・ルーカスに話したキーワードに、そののち麻薬王として君臨することになるコツが隠されているという仕掛けがあります。
1970年代の裏社会を包み隠さず報じて、世間に明らかにした作品です。
2大スター競演の力作ではあるが、過去のギャング映画の寄せ集め的な感もする
数々の映画史に残る名作を監督したリドリー・スコットの作品としては、やや物足りないが、最近のギャング映画としてはまあまあの出来。
ラッセル・クロウとデンゼル・ワシントンの競演が楽しみだったが、対面シーンはかなり後半にならないと出てこない。汚職刑事ではないが型破りの刑事というのはクロウにぴったりの役。一方のワシントンは近年はエリート黒人という配役パターンからなかなか抜け出せないジレンマに陥っているが、この作品では珍しくギャングのボス役を演じている。こちらも持ち前の演技力でそつなく演じているが、突然怒り出したりするところは「アンタッチャブル」や「グッドフェローズ」のロバート・デ・ニーロを連想してしまうし、そもそも映画全体が2大オスカー俳優対決を売りにしているため、やはりデ・ニーロが出演してアル・パチーノと競演した「ヒート」と比較してしまう。さらには家の外では非情な犯罪者が、家族想いであるという図式も「ゴッドファーザー」の二番煎じのような気がするし、平和な家族の描写に殺人、麻薬による悲劇の場面を挟み込むという演出も、やはり「ゴッドファーザー」で経験済みなため、映画全体が過去のギャング映画の寄せ集めのような気がしてオリジナリティや新鮮味に欠けるような気がしてしまう。
主役の2人以外の出演者では「ノーカントリー」でも熱演し、今後の注目株になるであろうジョッシュ・ブローニンがこの作品でも存在感のある汚職刑事を見事に演じている。
前半のバンコクや、麻薬製造のアジトの描写などはスコットらしさが見られる。中盤はクロウやワシントンの家族のエピソードが長くて蛇足の感が強く、クロウ以外の捜査チームのメンバーのキャラクターの描写が弱い。そして後半は急ぎ足になってしまっており演出よりも脚本が良くなかったのではないかと推察する。特に最後の汚職刑事告発の場面は前後のワシントンの心情も含めもっとじっくり描いて欲しかったと想う。力作ではあるが傑作にはいま一歩及ばなかった。
